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HsbtDiary


2021/12/24 (金) [長年日記]

執行役員 VPoE または技術部長としての近況

完全に出遅れましたが、近況です。空いてたら何処かに入れておきます。

ここではあまり仕事のことは書かないようにしてるんですが、執行役員とか部長って何やってんの、というのを公開していくのはそれはそれでエンジニアからの一キャリアとして参考になる人もいるかと思うので改めて書いておきます。

なお、勤務先の GMO ペパボでは、執行役員 VPoE 、技術(部)部長、データ基盤チームマネージャ、技術基盤チームマネージャ、というような色々兼務でやってます。

データ基盤チームマネージャの仕事

どういうことをやってるか、というと以下のようなエントリに書いてあることをチームメンバーが自発的に動くように、チームや会社にとってデータエンジニアリングをどういう位置付けにしていくか、何をやるべきか、などを数ヶ月に1回くらい Google Document や Notion で用意して共有したり、1on1 で各メンバーごとに話す、ということをいわゆるピープルマネジメントとしてやってました。

アウトカムとして、今までは有志で事業部の特定の用途にだけ使っていたというデータプラットフォームを、会社全体で共通の「基盤」として使えるようにしていく、というミッションを掲げて、ゼロからデータ基盤チームの立ち上げを行い、その後は「データの流れの展望を可視化してくれ〜」とか、「DevOps 4 keys で社内外で共通の数字で考察を行いたいので作ってくれ〜」というような抽象と具象のうまい粒度の話をチームに投げて成果を確認しています。

チームは割と厳格なスクラムで回しているので、具体的なタスクレベルのことをバックログに入れると、ただの作業者モードになるということもあり、プロダクトオーナーとして Epic の粒度をどう入れるのかがポイントな気がします。2021 年の最初は自分を含めて2人でスタートしたチームが、気が付いたら来年は自分と @udzura 含めて 7人になってしまったので、もうやりたい放題!!1というノリで 2022 年はデータドリブンな活動を強化していく計画です。

あまり手は動かしてないんですが、自分はプログラミングの環境を構築するというのが異常に得意なので、「poetry がなんか動かない」みたいなことをチームでやってたら「これが原因ちゃうの」みたいな茶々を入れたりしてます。Python の実行環境を整備するのって、異常に面倒なことが多いんですけど、みんなはどうやってるんだろう。教えてください。

技術部長の仕事

社内的に正確には「技術部」部長なんですが、次に続く執行役員としての仕事もあり、勝手に技術部長、いわゆる Technical Director と名乗ることが多いです。要は会社としての技術方針を決定して推進していくという仕事です。

ちょっと話が変わるのですが、組織を動かすときにはビジョンや強い気持ちを周りに伝えるというのはソフトなやり方と思っていて、ハードなやり方はやはり人事権と予算執行権です。で、この技術部という組織の箱を使いながら、自分は技術方針を推進しています。なお、ソフト面はあまり得意ではないので CTO の @antipop に任せることが多いです。

ここでも自分のやることはデータ基盤チームでやってることとあまり変わりませんが、問題の抽象度はより経営課題に近くなり、時間軸も半年1年というスパンから2-3年という内容になります。また、技術部は中に情報システム部門である Corporate Engineering グループ(CEG)や、各サービスのインフラ領域を見るプラットフォームグループ(PFG)、そして会社全体の技術方針を実行する組織として技術基盤チーム、という3つを持っています。

詳細については上記を見ていただくとして、実際には「Google Workspace 認証で旧ドメインが出てくるとサービス利用が面倒なのでプライマリドメイン変えてください」とか「CI 使うなら今後は GitHub Actions なんで、いい感じにスケールするようなやつで行きましょう」とか、「プライベートクラウドと AWS をいい感じにコストメリット高く使えるような何かを作る」というような、要は自分にとって便利と思えるようなものを @tnmt やチームメンバーに投げると期待以上のものが出てくるという毎日を送ってます。

この辺はもちろん技術基盤チーム @pyama86, @k1low をはじめとする技術部のメンバーのモチベーションと成果がすごいということに尽きるのですが、この辺のオーダーについては、常にキャッチアップや感覚を養っておかないと、「2021 年にもなってそれはないでしょ」となってしまうので、新しいサービスやソフトウェア、ガジェットは積極的に触って身体感覚をつけておくというのは続けてます。

執行役員 VPoE の仕事

最後が執行役員 VPoE の仕事ですが、ここは完全にフワッとした抽象的なことが多いです。先に述べたようにソフト面や R&D が強い要素は @antipop に任せているので、自分は今目の前で動いているサービスに対して、エンジニアの開発力を上げる、その結果としてサービスの利用者が増えるということをどう実現すればいいか、ということを考えて、ときには技術部長の帽子に切り替えて予算執行であるとか、人を動かして何かを作るというマネジメントをやっています。

また、昨今は採用が特に厳しいので採用担当のメンバーと採用フェスいいじゃん、とか言って企画を考えたり、イベントの運営をしたり、「エンジニアの CM を作りたいので誰かいませんか」という無茶振りに @tnmt を推薦したりと、採用につながるならなんでもやる、ってことが続いています。

エンジニア全員の人事考課の仕組みや、俸給の額を考えたりするのも仕事です。エンジニアに限りませんが、「給与上げればいいじゃん」というのは簡単で、PL にどれくらいインパクトがあるのか、上げたら事業よくなんの?というロジックを組み立てるのがめちゃくちゃ大変です。大変ながらも「こんなんですかね〜」を考えては @antipop や @igashima とディスカッションして、フィードバックをもらったらうーんうーんと考えてます。逆に自分の管掌下にあるエンジニアリングリードのメンバーと話して、最終的な結果として人々の行動の変容を促してサービスの開発力が高まりそう、となったら経営会議や取締役会に持ってくことが多いです。

まとめ

チームから、部門、経営のいろんなレベルでのマネジメントでやってることを書いてみましたが、 https://yamotty.tokyo/8b41bad7935f4c5a87d1bafa2d9d067a にもあるように、マネジメントは会社のミッションや端的には売上・利益を上げるためにやるので、「で、それやると儲かるの?」ってのは念頭におきながら判断をしています。

「開発を楽しくする」「事業も成長させる」、両方やるってのが幹部のなんだかんだ、ってやつです。この辺、社外を跨いだイベントがめっきりなくなってしまって、あまり話すことがなくなってしまったので、いろんな形はあると思いますが一緒にディスカッションできれば嬉しいのでお声がけお待ちしています。もしかしたら自分から話しましょう!と言い出すかもしれないので、その時はよろしくお願いします。