食欲、愛欲、金銭欲などを題材にした絵画を紹介しつつ、歴史背景と絵のイコロジーをつなげて解説するというやつ。しかしながら、本書のキーワードは欲ではなくて「空間恐怖」かなあと個人的には思う。
人には隙間があったら埋めたいという心理が働くものであって、西洋絵画がびっしり隙間なく埋められているのも空間恐怖が要因であろうと著者は言う。また、日本画は空間を大きく取った絵が多く、それが空間恐怖をどのように克服されたのか、というのが1つのテーマだそうだ。この話は全く考えもしなかったので読んで良かった。
kindle 版だと絵の組版が文書の最後に小さく突然登場したりと若干読みにくいのだけど、広く浅く、空間恐怖というテーマで絵画を勉強できるので良い本だった。