kdmsnr さんに献本頂きましたありがとうございます。
この本が凄いのは(ウェブ)オペレーションエンジニアという名前を定義したところだと思う。オペレーションエンジニアとは本書の「1章キャリア」によれば
ギガビットスイッチを修理してデータベースを最適化して、スケーラビリティ要件に合わせたインフラ全体の設計が指示できる、そんなエンジニア
となっている。とても大変そうだ。そういえばソーシャルゲーム系で今求められている人材は1章に記載されているようなことが出来るエンジニアなのかもしれないね。
本書は最適化のテクニックの詳細が書かれているわけではない。"何とかパラメータを10にして…"というような内容ではなく、何を調べて何をすればいいのか、過去にこういう内容でシステムを落としてしまった、こういうことをしたほうが良いだろうというようなエッセイ集となっている。その内容も kdmsnr さんによるこの本に興味のある人が読みやすい言葉*1で書かれているのでとても読みやすいと感じた。
個人的に勉強になったのは6章の監視だった。最近、社内インフラの監視体制を見直すにあたって、何をすればいいのかわからないという状態からスタートだったのでとてもタイムリーだった。本書では3章で ganglia を使った事例が紹介されていたけど、6章では単にツールの使い方というだけではなくその一つ前の概念や目的についてしっかりと解説されていたのがとてもためになった。
本書では他にも運用チームと開発チームとのコミュニケーション形成のために必要なことやRDBやNoSQLなDBの解説、アジャイルなプロセスとウェブオペレーションの関わり(継続的デプロイなど)についても触れられている。また、最後にクックパッドのウェブオペレーションの現状についての解説は、実際のシステム構成やオペレーションエンジニアのキャリアについて知ることできたのでとても価値のある内容だった。
本書はウェブオペレーションに関わる人、つまりWebの世界に関わっているエンジニアならどれも前提知識として知っておくと自分のキャリア(ジョブではない)形成に必ずプラスになる本だと思う。
ウェブオペレーション ―サイト運用管理の実践テクニック (THEORY/IN/PRACTICE)
オライリージャパン
¥46
*1 エルシャダイやミサワ