https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/23/04/07/00760/ などの目次を眺めて良さそうだなと思い Kindle で買って読んだ。
最初の方でスタッフプラス(スタッフエンジニア以上のタイトルの役職者)は
自分が個人的に関心のあるテクノロジーとアプローチを優先することよりも、自分が所属する組織の現実的なニーズを理解して満たすことのほうが遥かに重要とされる
と言い切ってしまっていい本だなあと感じた。自分は一応ではあるが、ANDPAD という組織のスタッフプラスなので、書いてあることについてはおおよそ同じように振る舞えているかな、という感想にはなった。そういやこの前 CEO と 1on1 をしたときに、「もう周りからどう評価されるかには興味がなくて、ANDPAD の中の人がどれだけ活躍できるかということが大事だと思ってます」とか話していたけど、ようはそういうことだろう。
全体を通して、いわゆる IC の最上位レベルの役職者も結局、人とプロダクトに向き合って影響力を発揮しながら組織を前進させるのが仕事だよという、最新テクノロジーを追いかけているだけのジュニアエンジニアにとっては容赦のない本だなあという感想にもなった。
しかし、スタッフプラスは人や金に関係する決裁権限は持たないけど、組織やプロダクトを前進させるのがコミットメントすべき仕事であるというのは本当に身も蓋もない話で、何をすれば人々が動くのか、モチベートされるのか、というのはコードを書いて動くならそれでいいし、いい話をして動くならそれでよい、という難しい内容でもあるわけで、エラスティックリーダーシップにあるように、組織の構成員と文化と状況に応じてスタイルをチェンジしながら動きを変えるなどが求められるのだろうなあ。時々笑い話として話すことがあるけど、組織の問題に比べたら Ruby や Rails のアップデートの方が楽勝だわ、やるだけだし、みたいな話。
後半はベンチャーやビッグテックでスタッフプラスをやっている人のインタビューが中心になっていて、中には sorbet の開発と導入を進めた Stripe の2名も含まれているので Ruby が好きな人にとっては身近な内容な気もする。前半でスタッフエンジニアになるにはスタッフプロジェクトといういわゆる「社運をかけたプロジェクト」を経験、または達成することが必要というようなことが書いてあるのだけど、インタビューの大半の人が「そんなものないですね」「初めて聞きました」と回答していて笑ってしまった。
最後に翻訳版には日本でスタッフエンジニアをする人たちのインタビューもいくつか含まれているんだけど、この内容についてはうーん、という感想だった。IC の上位職として頑張ってはいるんだろうけど、原著のインタビューにあったような、人々をモチベートさせることが仕事というような経営メンバーの参謀スタイルの人が皆無だったのが物足りなかった。おそらく日本でスタッフプラスができる人は VP とかシニアエンジニアリングマネージャをやっているから、なかなかスタッフエンジニアという肩書では外に出てこないんだろうなあ。
シニアエンジニアにはなったが、この先どうすれば...という人や、世の中で求められている上位職は結局人と人の関わりをいい感じにできる人、という現実を改めて直視したい人にはオススメの本です。
今回は月末なので秋葉原の ANDPAD オフィスで開催。RubyKaigi 2023 に参加した ANDPAD の新卒メンバーが初参加したりとだいぶいつもな感じだった。
https://asakusarb.esa.io/posts/1147
yhonda さんが来ていたので、今の trilogy と rails の状況ってどんな感じですかとか、Amazon Linux 2023 と libmysqlclient が辛いという話をしたり、2年ぶりくらいに Asakusa.rb マップを開いて自己紹介をしたりしていた。頻度をどれくらいにするかは不透明だけど、とりあえず月末はこんな感じで。